HAPPY!でENJOY!がFRESH(サイコーはーと)!一緒に歌って一緒にあそべばいつでも(スマイルマーク)好きなモノがいっぱいつまったクローゼットみたいな1枚。
YA-KYIM New Album HAPPY! ENJOY! FRESH! 2009.08.19 Release!
歌声はキュートで華やか。性格はマイペースでおっとり型。ちょっと天然で、たまに味方をも惑わすような言葉のスルー(されちゃう?)パスを出す、ユニークな視点の持ち主、ALISA。
少しザラついた声が特徴で、小気味良いラップを発射。明朗活発で責任感が強く、“山椒は小粒でもぴりりと辛い”がぴったりハマるグループの外交官、MIKU。
ウィスパーヴォイスで切なさと色気を曲にトッピング。集中力が高く、これと決めたら超ストイック。内に熱いモノを秘めたクールな司令塔、YURIE。
……と、見事にキャラがかぶらない3人組グループの理想型YA-KYIM。彼女たちがそんな個々の魅力をパックしたアルバム『HAPPY!ENJOY!FRESH!』を完成させた。アルバムリリースはレコード会社移籍後初。かつ、前作から約2年半ぶり。しかも、今年で彼女たちは結成10周年。そりゃあ、気合いが入るってもんです。
「出し惜しみとかしたくなかったし、後から後悔したくないなと思って。本当に今できるすべてのこと、ここ数年のYA-KYIMじゃなくて、10年をちゃんと振り返られるような一枚にしたいなと思って作り出したんです」(MIKU)
「これまではダンサー目線の音楽っていうか、そういうものを形にして“かっこいいでしょ?”っていうのを共有したかった感じ。でも、移籍したタイミングで、みんなと“楽しい-!”っていう空間を共有する音楽を作りたいっていう気持ちに変わっていって。今回は本当にみんなと共感しあえるものを作りたいなと思ってました」(YURIE)
彼女たちは男社会のヒップホップの“現場”で揉まれデビューした本格派。10代という若さもあって、移籍前は「ナメられたくないっていう思いがすごくあった」(MIKU)「流行りでヒップホップをやってるって思われるのが嫌だった」(YURIE)と言う。だから、知らず知らずのうちに虚勢を張っていたし、大人ぶっていた。自分たちを身の丈以上に見せてしまっていた。
そんなある日、尊敬するラッパーの先輩から、こう言われたらしい。
「何、そんな背負ってんの!?」
その言葉でハッと気づかされた自分たちスタイルへの疑問。そこで起こった脳内革命。「女の子だからはしゃいだりもするんだろうし、かわいい一面もあるんだから、もっと自然にやればいいじゃん」とアドバイスされ、「自然にYA-KYIMでガールズトークしてる感覚をもっと曲にしたら良いんじゃないかなって、やっと思えるようになった」(MIKU)と言う。
結果、3人が20代になって初めて作った本作では、年齢と等身大の歌が多くなった。まずは同世代には「あるある」なラブソングが増量。最新シングル「たぶんきっと」は、ALISAの実体験から書かれた元彼への感謝ソングだし、他にも、すれ違いソングや、さよならからの自立ソング、告白できずに悩む歌や、ちょっと大胆に迫る求愛ソングなどが収録されている。
また、ラブはラブでも、パーティマニアなセレブ気分ソングや、心友とのライバル心について歌った曲、ファン(リスナー)への思いを率直に伝えた曲もある。
「前よりも今のほうが、自分たちから“ねえ?”って近づいていける歌を歌えるようになったと思うんです。“みんなで楽しまない?”って言えるようになったと思うんですよね」(ALISA)
プラス、自分たちを育ててくれた先輩たちへの愛も、Respects曲で表現。繋がり=“縁”を大事にするヒップホップマナー、自分たちのルーツも忘れちゃいない。
そんな言葉を運ぶサウンドは、イマドキのエレクトロや四つ打ち、ロックテイストまで積極的に取り込み、明るくポップなものに変化。メロディも口ずさめるキャッチーなものが並んだ。けれど、ビートの音色は硬めにしておくことでシャープさはキープ。YA-KYIMの武器である“ダンスパフォーマンス”というポイントはハズしていない音になっている。
言い換えれば本作は、スウィートなクリームとサクザク固いパイ生地の絶妙なハーモニーが味わえる、女の子大好き!ミルフィーユみたいな一枚。ちゃんと定番のイチゴ(=恋の甘酸っぱさ)も添えられてるから、さらにオイシサUPだ。
もしくは、いろんな洋服がたくさん揃ったクローゼットと例えてもいい。“どんな気分になりたいか”“どんな自分になりたいか”で、着るものを変えたいのがオンナゴコロ。それを3人の個性的なスタイリングでバラエティ豊かに提案した一枚。「今日は何着よう?」みたいに「今日はどれ聴く?」って感じで楽しめるアルバムでもあるのだ。
ところで、タイトルの『HAPPY!ENJOY!FRESH!』。この3つの単語は、彼女たち3人のキャラや生き方のテーマを指している。まず「HAPPY」はALISA。小学校のときにデスティニーズ・チャイルドの曲名で知って以来、「Happy Face」をモットーと決め、個人ブログも「Happy Face」というタイトルにしているほどだ。「ENJOY」は、行動派で人と話すのが好きなMIKUのテーマ。数々のクラシックを産んだオールドスクール代表レーベル「エンジョイ・レコーズ」にちなんでいるのもMIKUらしい。そして、「FRESH」はクールなYURIEにハマるワード。ストイックに新しい音楽を追求する彼女のスタンスとリンクする。
「その3つを並べた『HAPPY!ENJOY!FRESH!』は、アルバムのテーマでもあるし、今の自分たちのスローガンにもなっているんです。それをより曲に落とし込めたアルバムを作れたかなと思ってます」(ALISA)
「HAPPYは笑顔とか心で感じること。ENJOYはライブとか実際の行動に移すこと。その2つをみんなで共有できたときにFRESH=超ヤバイ空間が生まれるっていう。そういうYA-KYIMでいたいっていう思いを込めてるんです」(MIKU)
前向きな歌詞で笑顔になれて、ハジけた音で楽しめて、かつ新境地も開拓したYA-KYIM渾身の一作、『HAPPY!ENJOY!FRESH!』。これは10年の結晶であると同時に、彼女たちがこれから大きく飛躍するための新しいスタートラインになるに違いない。
猪又 孝(DO THE MONKEY)

